ザ・投稿2000

<投稿No.006 〜 投稿者:junnnoさん (MOM2000年1月号)>

 初めまして、いつも『野獣は死なず/ザ・大藪春彦ワールド』楽しく拝見させていただいているjunnnoと申します。
  パソコン歴はまだ半年、インターネット歴は1ヶ月、大藪ファン歴は15年というまだまだ鼻ったれの若輩者で
ありますがよろしくお願い致します。

  さて『MONTHLY OYABU MAGAZINE・12月号』の中で『傭兵たちの挽歌・映画化』の話しですが
確か昔『GUN誌』に大藪氏の特集がされた時にチラッと読んだ様な記憶があり、
その後文庫の解説でも触れられていたのを覚えているのですが、
もし映画化されていたら誰が主演だったのでしょうか?
ずっとずっと気になっていた事だったので...スクリーンで片山の戦う姿!うーん見たかったなぁ!と思いました。

大藪氏が亡くなられてから今までこんな長い間新作が読めなくなった私、いや多くの大藪ファンにとっての
もう一つの楽しみといえば、映画・TVのビジュアル版大藪作品も重要です。

さて誠に勝手とは思いますが、私的大藪作品ベスト5を書いてみたいと思います。
※ランク付けなど愚問!!とおっしゃらずに是非聞いてやっていただけないでしょうか?
周りに大藪ファンのいない寂しさ故甘えさせて下さい。(*^_^*)

第5位!!復讐の掟
家族、そして息子への愛が満ちあふれた作品で最後に息子の譲が生きていたときの感動ったらないですよ!!
そして最後は土に帰ってゆく...こんなに泣けた作品はないです。

第4位!!ウインチェスターM70
銃の名がタイトルの作品の中で最も好きな作品、それにしても後期の作品『アスファルトの虎』の
暴力団栄光会襲撃後の延々と続くド派手なカーチェイスに勝るとも劣らない逃走シーン、本当に昭和30年代なの?

第3位!!蘇える金狼
トライアンフTR4、ホンダベンリィ125等々扱うマシーン全てが魅力的でそれを自由自在に操る反面、
会社での昼食は安いラーメン(笑)という粗食の庶民派ヒーロー朝倉哲也!!
そろそろ日本に戻ってきてもう一暴れして欲しいものです。※香取君の『金狼』も個人的には○です。

第2位!!戦士の挽歌
この作品を読んでいた当時、臨床検査の会社の外回りの仕事をしていたこともあり、
ワガママな先生方に嫌な思いをさせられた事は石川克也ほどではありませんが、多少はあり、
まあそのこともあり数ある大藪ヒーローの中では最も好きです。
特に金子医師襲撃・そして富士樹海での死体処理・武装した石川が聖全会本部襲撃!!
前半たまりに溜まったストレスが一気に発散されました。

第1位!!戦いの肖像
攻撃用ヘリ・原潜・空母を手に入れ独立国家建設・発想がSF作品のように突拍子のない方向に向かって
並の作家でしたら全くリアリティとは無縁のこの展開、しかしそこは大藪マジック(*^_^*)
最後まで一気に読ませるこのスピード感!!
ハリウッド映画でS・セガール主演で『沈黙の戦艦』というのがありましたが、
もしこの映画の主人公K・ライバックが空母キルラージに居たとしたら、
水島たちの計画は失敗だったでしょう

(*^_^*)以上
  自分勝手に大藪作品にランク付けしまいましたが、ちなみに伊達邦彦シリーズは別格としましたので、
多分3・4位はけっこう皆さん好きな作品ではないかと思いますが、
特に2位の『戦士の挽歌』はぜひマンスリーで特集希望します。

  これからも毎回『MONTHLY OYABU MAGAZINE』楽しみにしています。
それではまた。


<投稿No.007 〜 投稿者:junnnoさん (MOM2000年1月号)>

 コミック版『復讐の弾道』ですが、家の近所の古書店で上・中巻までは見た事があり、
その後買いに行った時上巻のみしかなくなっていたので仕方なく上巻のみGET!!したことがあります。

『アスファルトの虎』はJACから毎回切り取ってB5クリアファイルブックに収めてます。
それにしてもJACは他の漫画が私にとってイマイチなので買うのちょっとつらいです。
『アスファルトの虎』が載ってなければ絶対買ってない雑誌です。(^_^;)

 TV版『金狼』は毎回楽しみに観ていました。
事前に『ザ・テレビジョン』誌でチェックして朝倉哲也以外はオリジナルとの事で考えてみると
兄弟の為に戦う話って大藪作品でもありますので、まあこれもアリかな!!と
あまり戸惑いはありませんでした。(数ある大藪作品の混合ヒーローとして解釈)
香取君の金狼として優作版・蔵人版とは切り離して楽に観られました。

 映画化作品はやはり仲代版『野獣』が一番ですね、
特に好きなのが原作にもあるゲイの少年をキャディラックに乗せての死のドライブのシーンです。
何の作品かは忘れましたが、解説に『大藪作品は書かれた時代に読むに限る。』とあったのを思い出しましたが、
映画化もその時代のものが一番の様な気がします。
そういう意味でほぼリアルタイムな仲代版『野獣』が一番ですね。
それにしても『キネマ倶楽部』の作品はちょっと高い!!(*^_^*)

 またちょっと話が長くなりそうなので今日はこの辺で失礼いたします。
それではまた。


<投稿No.008 〜 投稿者:junnnoさん 2000.1.31(MOM2000年3月号)>

sevenさんこんにちは
2月号早速拝見しました。
毎号毎号レアなお宝画像ばかりでホント感心させられます。
sevenさんのHPと出会ってからまた違った面白さを見つけることが出来ました。
本当に感謝、感謝、大感謝です。
ところでsevenさんにちょっと質問したいんですが...

◎西城秀夫ってあの秀樹よりデビューは前なんですよね?確か秀樹は芸名だから
   もしかしたら名前の由来は大藪作品からなのでしょうか?ずーと疑問なんです。

◎映画『拳銃よさらば』はビデオ化されてるんでしょうか?
   ぴあの本を見ると出てないみたいなんですが。

  さて『野獣食うべし』で思い出したんですが、あの長期連載漫画『こち亀』の初期の頃の作品でしたが、
主人公の両さんが給料前で金欠の為雑草なんかを食べて生活する話(^_^;)があるんですが、
下駄箱に入っている靴を煮込んで食べるシーンがあるんですが(結局合皮の為食べられず)
正にあれの元ネタは大藪作品からだったのでは...と思いました。(関係ない漫画ネタですみません。)

  最後に少しでも大藪作品に触れているような本の小ネタ集ちょっと書いてみます。

◎別冊宝島281『隣のサイコさん』
    P220宅八郎氏インタビューの中に、
    大藪作品の様に都内に三件も別名義でアジトを借り、地下室もあるとか(笑)
    けど宅氏はあの拳銃王の小峯さんと大藪つながりだったとは。
     (宅氏がしつこく小峯さんに...なんてよく週刊誌に出てましたね。)

◎別冊宝島410『殺人百貨店』
    P240『野獣死すべし』のヒーローに憧れ18歳少年...
    S40年の渋谷の少年ライフル魔事件についての記事です。

◎幻冬社アウトロー文庫『破滅』
    大阪の強盗殺人犯Uについてのルポルタージュ

◎河出書房新社・ふくろうの本『現代殺人事件史』
    P54同じく強盗殺人について
 
それではまた。

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☆Seven
  投稿ありがとうございました!

 >◎西城秀夫ってあの秀樹よりデビューは前なんですよね?
  >  確か秀樹は芸名だからも し かしたら名前の由来 は大藪作品からなのでしょうか?
 
  ・・・西城秀樹さんは1972年3月25日「恋する季節」でデビューしました。 
これに対し、「週刊ポスト」1969年8月22日号に西城秀夫の「腐肉獣の狩人」 が連載スタートしたので、
西城秀夫の方が先です。 西城秀樹さんの芸名は西城秀夫からとったかも??

>◎映画『拳銃よさらば』はビデオ化されてるんでしょうか?ぴあの本を見ると出てないみたいなんですが。

・・・確かに「ぴあ・シネマクラブ」には載ってませんね。TSUTAYAで検索してもらっても ありませんでした。
   でも、確かに、2年位前に恵比寿と新宿のTSUTAYAで見かけたんです。
   勘違いかな?「暗黒街の対決」もありました。

補足:別冊宝島281『隣のサイコさん』は昨年、宝島社文庫に収録されました。

別冊宝島にこんなに大藪ネタがあったとは知りませんでした。

昨年発売された別冊宝島456「小説でわかる日本経済 」では
    『蘇える金狼』に数ページを割いて触れてますよ〜〜。


<投稿No.009 〜 投稿者:モーゼルおじさん 2000.3.7(MOM2000年3月号)>

●MOM 追記

         Written by "Uncle Mauzar"(モーゼルおじさん)

過去2回、投稿・掲載して頂きました記事に、追加させて頂きます。

○1999年07月号投稿「大藪作品の精神の系譜」

 投稿時には未読だった「鋼鉄はいかに鍛えられたか」(ニコライ・オストロフスキー作 岩波文庫)を
  その後8月に古本屋で偶然入手、読んでみました。

 読んでみて驚いたのは、この作品に出てくる主人公の視点、物の考え方等は、
  何と言ったら良いのか・・・・・”主調低音”といった感じで"そっくり"と言っても良いほど、
  そのまま大藪氏の「野獣死すべし」にスライドされているなぁ、と強く感じました。

 「かって今世紀初頭にこのような(小説的)現実があり、大藪春彦もそれに影響を受けた上で
  出発した」という事を確認するためにも、古本屋等で見かけましたら、御一読をお薦めしてお
  きます。

○1999年12月号投稿「暴論?!黒澤映画『用心棒』は大藪作品により誕生か?」

 先日、書店で「菊島隆三 シナリオ集」(日本シナリオ作家協会)という本を立ち読みして
  いて見つけた事です。

 この菊島隆三氏という方は、黒澤作品「野良犬」('49)にて黒澤氏と共同脚本を担当された方です。

 で、巻末に『浜町のダンナ』という菊島氏に言寄せたエッセイが収録されており、その筆者が何と
  あの白坂依志夫氏!(仲代達矢主演 映画「野獣死すべし」の脚本担当。劇中でも理屈っぽい
  研究室生としても出演されてます。)

 この白坂氏という方、この大藪春彦(原作)−須川栄三(監督)−仲代達矢(主演)−黛敏郎(音楽)という、
  同世代チームの一員として、どういう筋から起用されたのか、
  私は見当が突きませんでしたが、実はお父上も脚本家の御大、八住利雄さんだとの事でした!

 ※1:白坂依志夫氏の作品経歴 → http://www.jmdb.ne.jp/person/p0323890.htm 
  ※2:八住利雄の作品経歴   → http://www.jmdb.ne.jp/person/p0325790.htm

 参照下さい。(お二方共、結構壮観な作品経歴です。もちろん白坂氏の欄には「野獣死すべし」
  もありますよ。) 


<投稿No.010 〜 投稿者:OREDAYO&PRO.さん 2000.3.14(MOM2000年4月号)>

「現代の野獣が選ぶサイドアームは?」

大藪氏の小説世界に欠かせない小道具であるサイドアーム=拳銃。

古くは伊達邦彦のコルトハンツマンから、朝倉哲也のコルトスーパー.38、西城秀夫
のベレッタピューマ、片山哲夫のG.I.コルト…おっと忘れちゃぁいけない衣川恭介の
“凶銃”ワルサーP-38。

強靭な意志を持つ主人公の行動様式に酔う事に勝るとも劣らず、これら「凶銃」達の
活躍を読む事も、筆者にとっては大藪氏の小説世界に入り込んでいく上での楽しみで
ある。

さて、氏の亡き後、氏の新作を読む事も、新しい主人公に出会う事も、我々には不可能
であるのは承知で、「もし現代の野獣が一丁銃を選択するとしたら?」という妄想を
楽しんでみたいと思う。

前提1:消音効果を持つ(=サイレンサー装着が前提)

賢明なる読者諸兄は既にご存知の通り、中期の氏の小説中、登場回数が多い拳銃は
「ベレッタピューマ(M70S)」「ワルサーP-38」「ベレッタブリガディール(M1951)」等である。

上記の銃に共通しているのは「全て銃身露出型の自動拳銃である」という点が上げられる。

これはなぜか?
「銃身にサイレンサー用のネジが切れる」銃身露出型が、
人知れず「行為」をなさねばならぬ氏の小説世界の主人公には都合が良かったからであろう。

ところが現代の軍用、或いは警察用(即ち対人用)拳銃の流行として、この「銃身露出型」は
消えていく方向にある。なぜならば、かつての「銃身露出型」のメリット=軽量化が、
実際の射撃においては、甚だ銃先端部のバランスを欠く、という問題を抱えているからである。
(しかも軽量化自体という点でも、70年代までの“削り出し工法”が主流であった頃ならまだしも、
現代ではグロック17に代表される「ポリマーフレーム(樹脂ボディ採用)」の方が
はるかに実用的である。

しかしながら遊底部が銃身を覆う(G.I.コルトスタイル)タイプの場合、
サイレンサー装着が困難である。

そこで折衷案として上げられるのは
「スケールダウンした(=銃身、フレームを短くした)銃にオリジナルの(長い)銃身を装着する」、
これである。
具体的に言えばG.I.コルトの短銃身(4 3/4インチ)モデルの「コンバットコマンダー」に
オリジナルのG.I.コルトの銃身(5インチ)を装着する、或いはグロック17の短銃身モデルの
グロック19にグロック17のオリジナル銃身を装着する等である。

この場合、遊底先端から1センチばかり銃身が露出する為、
銃身への「ネジ切り」が可能である。

前提2:夜目に目立たぬ(光を反射しない)表面塗装

読者諸兄、お手元にある「処刑の掟(速見誠主演:角川文庫版)」を参照頂きたい。

主人公の速見が、愛用のコルトパイソン(拳銃のロールスロイスと言われる、丁寧な
造り、塗装で有名である)にM16自動小銃等に採用されている「パーカライズド塗装」を
ワザワザ後から施している点に気付かれたであろう。

これは、夜間敵に対することの多い主人公が、
銃表面の「光の反射によって、自分の位置を敵に悟られぬ為」に採用した塗装である。

現在では、米国FBIのスワット用として採用されているスプリングフィールド社製の
G.I.コルトクローンがこれに似た塗装(BLACK-T)を採用している。

これは、フライパンの焦げ付き防止によく塗布される米国デゥポン社の「テフロン」
に似たもので、主にメンテナンスフリーの点から採用されたものであるが「プロの道具」
としては是非採用したい。

前提3:口径(=使用銃弾)は、9MMX19MM

野獣は基本的に「ワンマンアーミー」である。(たまに3人、或いは4人のチームの場合も
あるが…)即ち戦闘中の後方支援は当てに出来ず、銃弾の供給は、買う又は強奪する
という事になる。

つまり、世界中で広く使用されているモノが入手容易であり、理想的である。

この場合、旧NATOは元より、最近では米国軍、更には日本の自衛隊でさえ採用している
9MMX19MM(9MMルーガー、或いは9MMパラベリューム)が最適である。

威力の点ではG.I.コルトの.45オート、10MMS&W、.357SIGも捨てがたいが、
入手の容易さにおいて問題が残る。

前提4:正確な射撃が可能なコックアンドロック、或いはセミシングルアクション

未だ東欧より帰還していない西城秀夫が「獣たちの黙示緑」内で、愛銃をシグザウエル
P-225からCZ75に変更した事、「野獣は甦る」で伊達邦彦がCZ85を採用した事は
記憶に新しい。

これは、より正確且つ実戦的な「コックアンドロック」を重んじた点からの選択であるが、
このCZ、嘗てのチェコスロバキアの解体、人件費の高騰等により、
西城が、邦彦が使用した頃のような品質は保っていない。

一方、現代の軍用銃は、兵士の知識不足による事故防止の為、ダブルアクション+
ハンマーリリース機構を装着する例が増えている(ベレッタM92F、シグザウエルP-226等)。
しかしながらこれらの銃は、初弾発射の際、ダブルアクションが前提となり、
「正確な射撃」には、聊か適さない。

ここは、常にセミシングルアクションで発射出来るグロック方式を採用したい。

前提5:新進気鋭の技術
「ウェポンハンター」の星島弘を思い出していただきたい。彼は、「オメガ・ワン破壊指令」で
新規テスト中のプラスティック多用のオーストリア製「スタイヤーACR(AUGがモデルだと思われる)」
で活路を開いている。

いつまでも旧来の火器を使用していては、時代に取り残されてしまうのだ。

前提6:何はともあれ「野獣」に相応しい「風格」が欲しい。

即ちカッチョよくなくてはならない。

以上の条件を鑑みるに、オーストリアの老舗でありながら、精密射撃用銃は元より、
ユニークな軍用小銃も多数産出している

「スタイヤーM9のコンパクトモデルM9S」
(セミ・シングルアクション、装弾数13+1発、ポリマーフレームで照準装置がユニーク)
          
これにオリジナルM9の銃身を装着(勿論、銃身先端にはネジ切り)BLACK-T塗装を
したものを「野獣スペッシャル」として提案したい。

君には見えるだろう。
「野獣スペッシャル」を片手に、敵に向かっていく「新しい野獣」が…

                                  (14/MAR/2000)


<投稿No.011 〜 投稿者:Tsuneoさん 2000.3.23(MOM2000年4月号)>

(映画「蘇える金狼」投稿)

 前略本当に楽しませてもらってます。
思えばわしも数年前に友人(ノン気の)幾名かを騙して猿島に行きました。
本当にわくわくしたのを今思い出しています。

 角川って基本的には文明の破壊者だと思いますが、優作さんのいじり方
に関しては唯一無比に近いものを持っていたように思います。
少なくとも金狼のラストシーンに関してはむしろ原作の方が甘いですもんね。
あのラストを見た当時のわしは、本当にちびりました。

 ところで猿島ですが、あそこって、東映系のロケ隊にブックマークされてる
みたいですね。初期のライダーや最近の戦隊ものだと「ゴーゴーファイブ」なんか、
結構見る人が見れば猿島ロケとすぐ分かります。

 質問なんですが(良くHPを見ろよって言われそうですけど)ラスト近く、
朝倉が京子の死体に振りまくパラフィン状のものって何なんでしょう。
前後関係で航空チケットと想像するしかないんですが、
あの赤いのは何かなーと、私は
恥ずかしながら中学生の頃から疑問を抱きつづけております。

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☆Editor
投稿ありがとうございました!
「朝倉が京子の死体に振りまくパラフィン状のもの」
・・・私も初めて見たときは航空チケットかな?と思いましたが、
   朝倉は破いてないし、あんなにあるはずないですね。
   私は、たまたまあそこにあった、赤く大きな砂と思ってます。
   でも、きれいですよね・・・。


<投稿No.012 〜 投稿者:追放者さん 2000.4.16(MOM2000年5月号)>

大藪ブームの再来!(雑誌コピーより)

 大藪作品の古書を渉猟するうちに、大藪春彦の4文字が記された見たことも聞いたこともない雑誌を発見する、
皆さんそんな経験をお持ちでは。
今回は雑誌記事の紹介です。

出典は『蘇える金狼』上映のあった昭和54年、現代新社が11月に創刊した“青春catalog”。

大藪氏はこれの目次のページに稿を寄せ、トップの青春シンポジウム‘青春の海図’のインタビューに
応えている。目次ページは青春野郎へ伝言として
“野獣の青春”概要の700字ほどのくだりがあり最後をこう括る。

『それほどはっきりしたものじゃないけど、青春時代の指針っていうと、
色んな意味で“怒り”ということになるかな。
それが、“俺はこう生きてやるんだ”というような意地を作るんですね・・・・。
やっぱり、青春って奴、怒りと意地でできてると思うな。』

シンポジウムでは“金狼が吠える・復讐が合言葉だ”のタイトルでインタビュー記事が2ページ。
踏み場もないほど資料と登山靴で埋もれた松原の書斎の写真が数葉。
出生から当時までの生活が語られる。
その後の一部・・・。

『大学の時は貧乏で車なんか買えなかったよ。2輪には乗っていたけどね。』

 (初耳(目?):学生時代にバイクに乗っていたとは)

→若者たちへの苦言はありますか。

『若い人とあまり付き合う気はしないんだけど。そうだね・・・今、石油とか食料問題とか、
色んな問題が出てきてますね。日本のことだから、なんとかやっていくとは思うけど、
もっと困難な時代に、やがてなっていくと思いますよ。生存法というか、物質的にも精神的にもね、
原始的生活に耐えられるように体を馴しておくといいかもしれない。

それとシラケちゃってるね、今の若い人たち。そのくせ、計算がすばやくてね、
なにか行動起こす前に、後が面倒だとか、もっと上手に生きる方法があるとかね、
波風立てなかったら、そりゃ気楽にいけますよ。でもね、それじゃつまらないな。
もっと奔放に生きて、大いに波風を立てるべきだと思うんだ。それが若いということじゃないですか。』

雑感(老ファンの独り言)

【自分が大藪本の初版、初収載雑誌にこだわり、蒐集し続けるのは今にも燃え尽きて消えてしまいそうな、
自分をこれまで生かしてきた青春時代特有の狂気の軌跡を辿る道標がそこにあると信ずるからだ。
文学的なことは解らない。懐古主義と見ればよい。
ハードボイルドがどうだミステリー作法がどうだという既成の概念は俺には不要だ。
魂の昇華する実感があればそれで満足して衰枯の流れに身をまかせられる。】


<投稿No.013 〜 投稿者:Kentaさん 2000.4.17(MOM2000年5月号)>

前略
貴HP拝見いたしました。
調査にかけた膨大な労力に敬服いたします。

さて、私は松田優作の遊戯シリーズや蘇る金狼に衝撃を受け、大薮ワールドに入りました。
1979から80年ごろのことだったと思います。
やはり伊達邦彦の魅力には悩殺され、特に『血の来訪者』が大好きで、
出先で急に読みたくなるとすぐに買ってしまい、何冊もあります(笑)。
この作品、圧力がかからなかったしたら、十分な時間をかけて完成されたとしたら、
日本文学史に残る名作になったのではないかと考えます(今でも十分に名作なのですが)。

 いずれにしても、私の人格形成期に大きな刻印を残したのは大薮作品群であるといって過言ではありません。
英国に留学もしましたが、それも『諜報局破壊班員』がなければなしえなかったかとも思います。
大薮作品は、自分なりの闘いを、この人生で展開してゆくための原動力のひとつともなっているのです。

 ひとつお聞きしたいのですが、伊達邦彦シリーズの最後の二冊についてです。
それ以前のものと比べると時間的な差があったからでしょうか、どうもしっくりこないのです。
それは描写やストーリーなどに、それまでの大薮作品では決して使われないものが多く、
はっきり言うと厳しさがなくなってしまっているのでは、と感じます。
本当に本人が書かれたのだろうか、という疑問すら持ってしまいます。
どのように理解したらよいのでしょう。

 この二作について、何か情報がありましたらご教示ください。
とりあえず、自分の中ではこの二冊はカッコに入れて、私の伊達邦彦像には入れるのをためらっているのが現状です。

まだ、MOMの第二号までしか拝見していないので、これからゆっくり楽しもうと思っております。

それでは、今後の貴HPの発展を念願して。

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☆Editor
投稿ありがとうございました!
「野獣は甦える」「野獣は、死なず」の件はこれまでも何人かの方が同様の指摘をされてますね。
>どのように理解したらよいのでしょう。
・・・それは読者個々の判断に委ねますが、理解の一助としては「ウェポンハンター・シリーズ」を読まれることをお薦めします。
私も読むたびにこの2作品の認識が変わるのですが、少なくとも「野獣は甦える」は大藪氏自身の手による作品だと思います。


<投稿No.014 〜 投稿者:ニコニコトシチャン 2000.4.20(MOM2000年5月号)>

ルート・ビアと大藪春彦氏

 いつも楽しませていただきまして、お世話になっております。
常々大藪氏の作品について、気になった点が有ったもので書かせていただきました。

 ルート・ビアと言う飲み物をご存じでしょうか?
アメリカではコーラやセブンアップ等と並び、大変人気の有る清涼飲料水です。
しかし、日本においてはその独特の味は非常に不人気でして、私が今まで多くの友人知人に飲ませたところ、
おいしいと言った意見を聞いた記憶はありません。

 どの様な飲み物かと言うと、見た目はコーラですが、味は強いミント味で、香りはサロンパスと言った感じです。
簡単に説明すると、コーラに練り歯磨きを大量に加え、よくかき混ぜた様なものです。
原料はある植物の根との事で、これが名前の由来でも有ります。

 この様な特異な味のため、アメリカ好きの日本においてもほとんど知られる事が無いのかと思っておりますが、
アメリカでは非常にポピュラーで、どこでも売っていますし(NYでは減っているかも)プラネットハリウッドでは
しっかりメニューにも載っていましたし、
あるハンバーガーショップではメニューにはドクターペッパー(これも好きです)と有りましたが、
出てきたものは明らかにルート・ビアでした。

 ルート・ビアは私の友人の間では、バツゲームに使用されたりして不当な評価を受けておりますが、
私は大変好きです。実はこのルート・ビアは度々大藪春彦氏の作品に登場するのですが、
大藪氏はその作品に個人的な嗜好を織り交ぜるておられると言う印象が強く、
ルート・ビアもお好きだったのでは無いかと考えておりますが、いかがなものでしょうか?

 私が思いついたルート・ビアが登場する作品は以下の通りです。

『汚れた英雄』第2巻雌伏編(角川文庫版)
196ページより引用
"晶夫はアルコール抜きのルート・ビールを飲み干した。"

325ページより引用
"食堂でハンバーガーとルート・ビアーの遅い昼食をとった。"

『マンハッタン核作戦』(角川文庫版)
342ページより引用
"アルコールが入っていないルート・ビアで胃に押し込んだ。"

『戦士の挽歌』第2部・快楽都市(徳間文庫版)
172ページより引用
"アルコールが含まれていないルート・ビアーの小瓶を続けざまに三本飲み干した。"

 ルート・ビアに関する記述は他の作品にも有るのでは無いかと思いますがちょっと思い浮かびません。
ご存じでしたらお教えくだされば幸いです。
 


<投稿No.015 〜 投稿者:こざかなさん 2000.5.20(MOM2000年6月号)>

 Mr.Seven は、5月17日の、朝日新聞朝刊は入手可能ですか?

朝刊二面の「ひと」の囲み記事のなかに、興味ある記事を見つけました。
第13回山本周五郎賞に決まった岩井志麻子女史のコメントに、大藪氏の名がありました。
スキャナーではうまく取りこめなかったので、原文を記します。
最後の1行、横書きで、

『趣味はクレー射撃。銃の名が「(大藪)春彦」。「私の中の男が銃を持たせる」。35歳。』

とありました。
岩井さんは女性です。

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☆Editor
投稿ありがとうございました!
図書館で新聞確認しました。大藪ファンの方でしょうか?
女豹の血が継承されたのでしょうか?
著書『ぼっけえ、きょうてえ』は日本ホラー小説大賞を受賞したとか。


<投稿No.016 〜 投稿者:RemM1100さん 2000.7.3(MOM2000年7月号)>

 私は去年まで香川県に住んでいたのに知らなかったのですが、
高松の菊池寛記念館に大藪春彦コーナーがあるそうです。
暴力租界の原稿などが展示してあるそうです。

 あとどこのホームページを見ても指摘してないので私が言うのですが、
「知ってるつもり」の親が空気銃を買ってくれなかったと言うエピゾート、番組では大学時代の話にしてましたが、
あれは高校時代の話ですよね。
あと引き上げてきた親子を冷たくあしらったのを父親にしてましたが、あれは祖母なんじゃないでしょうか?

 それから、テレビ版蘇る金狼のラストシーンは、あれはもしかしたらスタッフの敗北宣言なんじゃないでしょうか?
テレビ版蘇る金狼は、原作小説に負けた、だけどいつかまた大藪作品にチャレンジするよ。と言うメッセージが
込められてたんじゃないでしょうか?だとすると嬉しいんですけどね。
大藪作品をアイドルで映像化すること自体無茶苦茶だったんじゃないだろうか。
香取くんと多香子ちゃんで映像化するなら10年後に作ればよかったんじゃないのかな?

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★Editor
投稿ありがとうございます!
菊池寛記念館につきましては、皆様ご存知かと思い、記してませんでした。
「知ってるつもり!?」の件は当時、クラブ・ドミンゴ(BBS)でも話題になりました。
確かにエッセイではRemM1100さんの言われる通りの記述があります。
他にもいくつか「?」なところもありました。私はエッセイの方を信頼しています。


<投稿No.017 〜 投稿者:MO(モーゼルおじさん) 2000.7.17(MOM2000年8月号)>

●大藪春彦「孤剣」原作の映画「赤い手裏剣」について

                          by MO(モーゼルおじさん)

4/30日に、映画関係の本で、
 キネ旬ムック
  「光と影の映画史 撮影監督・宮川一夫の世界」
  2000/5/5発行  キネマ旬報社 ¥1,762+税

という本を購入しました。 故・宮川一夫氏は御存知の方も多いと思われますが、
黒澤映画「羅生門」「用心棒」、その他溝口健二監督作品の撮影を担当された、世界的に有名な映画カメラマンです。

その本の巻末の「宮川一夫全映画」というリスト一覧の中に、
我らが大藪春彦氏原作の映画「赤い手裏剣」の解説記事が掲載されています。(P.151)

わたくし学生時代に「大藪原作」という事で、TV放映で観たことありますが、
個人的にはどうって事ない作品(この作品のファンの方にはごめんなさい)だ、という感想しかありませんでしたが、
今回撮影は宮川氏だと知って、驚いています。

資料的価値の高い、濃密な記事だと思いますので、この場をお借りして紹介させて頂きます。
(執筆者は、磯田 勉氏です。)

内容的に以前私が投稿させて頂いた内容とカブる部分があるかと思われますが、
「映画ファンには今となっては当然の事」として判明してる内容だ、というだけだと思いますのでお気になさらず・・(^^ゞ

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○赤い手裏剣
大映京都/8巻/87分/カラー/シネマスコープ
1965年2月20日

[スタッフ]
企画:加賀四郎 監督:田中徳三 脚本:高岩 肇 野上竜雄 原作:大藪春彦
撮影:宮川一夫 照明:中岡源権 音楽:塚原哲夫 美術:西岡善信 録音:海原幸夫
編集:山田弘

[キャスト]
伊吹新之介:市川雷蔵 お雪:小林千登勢 千波:春川ますみ 北風の政:南原
宏治 絹屋源兵衛:須賀不二男 九兵衛:水原浩一 文造:伊達三郎 炭屋松次郎:吉田義夫
仏の勘造:山形勲 お春:若杉曜子 瀬戸物屋の親爺:西川ヒノデ

[解説]
『野獣死すべし』でデビュー以来、和製ハードボイルド小説の第一人者となった大藪春彦、唯一の
連作時代小説「孤剣」の中の一編「掟破り」の映画化した、西部劇風のアクション時代劇。

鉱山景気で賑わう宿場町にふらりと現れた正体不明の浪人者が、敵対するやくざ組織同士を噛
み合わせて壊滅させるという筋立ては、もろに黒澤明の『用心棒』(61)を想起させる。

イタリアで盗用された『荒野の用心棒』(64)をはじめ、世界中で数多くの亜流作品を生んだ同作
だが、これもその1本といえる。

だが、『用心棒』自体がアメリカのハードボイルド作家、ダシール・ハメットの長編小説「赤い収穫」
及びその原型となった短編「新任保安官」の見事な換骨奪胎であるから、プロット自体はハード
ボイルドの王道といえよう。

『用心棒』との差異を明確にすべく、作り手たちはやくざ組織を三組に設定してパワー・バランスの
興味を狙っている。

三船敏郎のような豪傑的な剣豪ムードとは程遠い優男の市川雷蔵が革のベスト(?)や真っ白い
着流しに身を包み、伝法な口調で理屈抜きに強いスーパーマン的な役柄を楽しそうに演じている。

田中徳三のきびきびした演出も快調。折しも日本に上陸し始めたマカロニ・ウエスタン調の味付け
も楽しく、乾いた旋律の音楽も効果的。

雷蔵の投げる手裏剣やライバル役の南原宏治が使う鎖鎌ブーメランといった武器、襲い来る刺客
たちを雷蔵が鮮やかに斬り捨てるときの横移動など、宮川撮影も珍しくケレン味を積極的に取り入
れている。

一方で、やくざたちの乱戦のモブ・シーンでは狭い空間で斬り合うダイナミズムを狙うなど、『用心棒』
のときとはひと味違った映像設計を試みている。雷蔵の新しいシリーズを狙ったようだが、これ1本き
りで終わった。
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(後記)
Sevenさんからの御指摘で判明した事がありますので、ここに記させてもらいます。
・原作では「伊吹勘之助」であるが、映画では「新之介」?
  → どうやら映画化に当たって名前を変更した模様だという事がSevenさんに突き止めて頂きま
     した。(さすが、Sevenさん)

・・・・あと、ここまで書いたらやはり映画作品を観ないでは無責任だろう、という思いが強くなって
来たので、銀座のY楽器に買いに行きました。 「市川雷蔵コーナー」を見ていくと・・・・・・、

「あった、ありましたぁ!」 ← (c)真田セリフ

DAIEI VIDEO MUSEUM /商品番号HTH−1259
市川雷蔵主演作品「赤い手裏剣」 ¥3,800(税込み)

早速観てみると、(以下、個人的な感想です)

1)「大藪原作」というより、殆ど「雷蔵主演作」としての味わいが強い。

2)黒澤「用心棒」では敵役の仲代達矢に振られた「バタくさい性格造形」(時代劇なのにマフラーを
  巻いたりする)が、この作品では主役の雷蔵の属性に取り込まれている(時代劇なのに革性のジャ
  ケット?を身にまとったりしている)。 

3)大映京都撮影所の’65年当時のスタッフの作り上げた作品として、現在の目から見ると様々な
  共通項(セットの雰囲気等)が、ひしひしと伝わってくる。(『釈迦』、『大魔神』シリーズなどの画面
  の雰囲気そのまま)

4)最後の取って付けたような「伊吹さ〜ん!!(エコー付き)」という、小林千登勢の絶叫がもろに
  西部劇「シェーン」になってる突拍子のなさ。 ← 私、爆笑してしまいました。(再度、この作品の
  ファンの方には乞御容赦。)

などと随分勝手な感想を書いてしまいましたが、全体的には結構手堅くまとまっている時代劇作品
として、楽しめました!!

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★Editor
   赤い手裏剣!!  (▼_▼)/〜〜〜〜〜〜卍
  
   投稿ありがとうございました! 映画「赤い手裏剣」は大きなTSUTAYAには置いてありますネ。
   北風の政役で映画「金狼」の磯川役でおなじみの南原宏治さんも出演されてます。
   大藪氏のコメントを発見しましたので紹介しておきます。 

大藪氏
「原作は僕のただ一つの時代小説であり、日本初のリアリズム時代小説「孤剣」である。
  映画は様式美にこだわった感があり、美しいが荒々しさがちょっと欠ける印象であった。
  この作品のあと「三匹の侍」等のリアリズムTV時代劇が次々に生れていく。」(『キネマ旬報』1994.8.20号 )


<投稿No.018 〜 投稿者:icemanさん 2000.8.6(MOM2000年9月号)>

 はじめまして、icemanと申します。小さな頃から銃器類が好きでエアーガンやモデルガンを集めており
小学6年の頃「野獣死すべし」を読み大藪春彦の世界に入りました。
現在高校3年ですが暇を見つけては氏の小説を読んでいます。伊達邦彦シリーズが好きです。

 ガンマニアである僕は知識を得たいために本を買い集めています。
その中で古本屋で見つけた本を紹介したいと思います。

光文社文庫の「世界の拳銃」という文庫本です。その本の中で大藪春彦氏が拳銃の実射レポートをしております。
内容はレポートが5本あって、そのうち4つは拳銃の実射レポートであと1本は海兵隊入隊レポートです。
また、初版発行が昭和59年11月20日と古いので見つけるのには骨が折れるかもしれません。

 僕もザ・ガン&ライフルを持っています。古本屋で700円でした。
それと同じ古本屋でザ・ガン&ライフル2を見かけました。袋詰めされていて中身が確認できないのですが今度買ってみます。


<投稿No.019 〜 投稿者:RemM1100さん 2000.8.6(MOM2000年9月号)>

私、最近初めて藤岡弘主演の「野獣死すべし復讐のメカニック」を観たのですが、この映画なかなかいいのではないでしょうか?

確かに他の作品(凶銃ルーガーP08を除く)同様原作とだいぶ違うお話なのですが、
大藪さんの世界を大切にしていると言いますか、礼儀正しい人達が作ったちょっと芸術的な映画という感じがしまして
好感が持てる映画だと思うのです。

 藤岡弘も最初は濃いなと言う感じを受けたのですが観ていくうちに
格好いいしセクシーで知性的な伊達邦彦その者に見えてきます。
確か二年程前に「恋のからさわぎ」に藤岡氏が出演したとき自分勝手なことを言うレギュラーの女性に対し藤岡氏が

「自分と言う者をちゃんと見つめているのか」

と言ったことがあるのですが、あのときの藤岡氏の格好の良さはまさにD.Kそのものの格好の良さだったのかもしれませんね。

 藤岡氏主演で「野獣は甦える」を作るのは難しいかもしれませんが、
藤原紀香主演で「非情の女豹」を作るときは伊達邦彦役を藤岡氏に演じてもらいたいですね。
監督はスワロウテイルバタフライの岩井俊二がいいですね・・・?


<投稿No.020 〜 投稿者:ビアフラさん 2000.8.14(MOM2000年9月号)>

 はじめまして。高校のころに「孤狼の掟」を読んで以来、大藪春彦のいち読者となっています。

 彼の作品を読んでるうちに気づいたのですが、どの作品にも根底に流れているのは、‘‘怒り”だということです。
それが、国家権力だったり、組織、個人に向けられてますが、それに対抗する(怒りの表現方法)手段が、
復讐、犯罪...と言った形で表わされていると思います。
実際「女豹の掟」の後書きで、そう言ってますし、「腐肉とハイエナ」以降みうけられる、汚職告発小説でも、それが感じられます。

 僕は、大藪春彦のほかに、柘植久慶や、落合信彦の作品が好きで、よく読んでますが、
彼らに共通するものは、国際社会の非常さとエゴ。
それに対抗するためにありとあらゆる手段で臨むーそれが力であったり、知識や、情報武装だったりするが、−。
つまり、人権や、法律、常識などそれらの前ではまったく役に立たない。自衛のためには、それを超越しなくてはならないほど、シビアだということです。
その答えを出す状況にならないことを祈りつつこのメールを終わりたいと思います。
ちなみに大藪の小説で一番好きなのは、「ヘッドハンター」です。


<投稿No.021 〜 投稿者:追放者さん 2000.8.15(MOM2000年9月号)>

 大藪OUTSIDE:COMIC編PARTU興味深く拝見させていただきました。
そこで当時の劇画界に対する大藪氏の思いを吐露したと思われるエッセイを見つけましたので紹介させていただきます。
正直、投稿するにあたってかなり悩みましたが大藪氏と劇画界との関わりを知る上で避けては通れない資料として
引用させていただきました。伏せ字のところは一部実名です。

               随筆;まんがと私
  
            『くたばれ三流劇画家』 大藪春彦
  
    [時間がとれたら、昨年からやりはじめたクルーザーで伊豆七島などをめぐり、夏を謳歌したい。(写真)]

 ぼくの少年時代は敗戦後の混乱時で、現在のようにマンガ雑誌が氾濫するとは想像もつかなかった。
新聞に「ブロンディ」のマンガが載っていた時代だ。手塚氏のマンガは大好きで、よく学校にいっても、授業などウワのソラで、
人物名は忘れたが、氏が描くところのストーリーの主人公をノートに模写した。
小学校の終わりから中学一、二年にかけてのことだ。
もっとも、ほかの連中は教室でもヒロポンを射って、女教師をからかいながら、××××をかいていたが・・・・。

 さて、現在はコミック・マガジンの全盛時代で劇画ブームである。
ぼくの作品も、劇画化しやすいらしく、かなりの本数がマンガになった。

安い原作料をもらってへたくそな劇画化をされると、原作まで安っぽく思われて、
こっちは本の売れゆきに響く上に、累進の税率のせいで金銭上の損までかけられるのだからお断りすればいいのだが、
依頼してくる編集者諸氏に義理があるため、つい断りきれないことがある。
もっとも、正規のルートで劇画化された場合はぼくとしても文句はいえない。
それに一、二の劇画家は、原作の味をある程度画面に再現してくれるだけでなく、原作以上におもしろく脚色してくれるから、
そういう人たちには感謝しなければならないが・・・・。

 出版社から定期に寄贈してくれる何種類かの雑誌のなかに、ぼくのを盗んだコミックをしばしば発見してアタマにくるが、
ぼくの目のとどかないところでは、もっとはでにやられているらしい。
そうかと思うと、ぼくが許可した覚えのない作品を、ぼくの“原作”よりとしてへたくそきわまりない劇画化をし、抗議すると、
たしかに電話で許可をもらったはずだといいはる三流出版社もある。ぼくの“みな殺しの歌”で雑誌の大半を埋めた■社がその例である。
そして原作料も送ってこない。こんな悪質なやつは文芸家協会に提訴しようと思っている。

 盗むといえば、テレビの和製アクション映画もひどいが、
特に昨年放映された◯◯◯◯主演の“七つの顔の男”なるものは、ぼくの作品のサワリの場面を無断ではでに使ってくれた。
  盗まれていちいち目くじらたてるのもばからしいが、知らない読者が、ぼくの単行本の旧作を読んだとき、
ぼくのほうが盗んだのでないかと思ったりしたら困る。
もっとも、読者はありがたいものでぼくの作品がどこに盗まれていたかを知らせてくれても、
ぼくが盗んだ、などと文句をいってはこないが・・・。

                (p53;COMこむ:虫プロ商事株式会社、8、1968より)
 
最後の・・・が複雑ですね。
ちょうどこの頃は、銃を持てないフラストレーションの絶頂期、多種にわたる趣味に没頭したり、
『汚れた英雄』など数多くの連載ものの執筆に精力を出された時期ですね。
悪魔的な気迫で筆が進んでいるように思いましたが、皆さんはいかがでしょうか。


<投稿No.022 〜 投稿者:ビアフラさん 2000.9.10(MOM2000年10月号)>

 エレガンスー優雅さ。

「汚れた英雄」全体を通して見受けられるのは、これではないかと思う。

 確かにレース(マシンの咆哮)あり、ハンティング(銃火)あり、そして女との情事ありと、大藪エッセンスが散りばめられているが、優雅さの追及が、一番強く出ているのが、この作品ではないかと思う。
  レースでも、ベッドの上でも、優雅に振舞う、北野晶夫。
だが、時には、死の淵に立たされるときもある。ノーフォーク公の細君イレーンにカミソリで、イチモツを切られかけたり、
千代子にブローニングの25口径で打たれたり . . .。だが、それを切り抜けて、応酬するシーンからは、余裕さえ感じられる。

   モーホー関係のコメントを求められて;
      ‘ご婦人相手に忙しくてそんなヒマがなかった。’
  
   25口径の弾を摘出後;
      ‘記念のペンダントにして、首に飾ろう。’
                :
              etc

 優雅さには、立ち居振舞いだけでなく、余裕とユーモアも不可欠である。

 優雅さと邪悪さ(タフさ)。

この二つを兼ね備えてこそ、女の望む理想の男の姿だと思う。このどちらが欠けても、男は、ただの牡でしかない。
  とにかく、「汚れた英雄」は、スケコマ師、いや、伊達男のバイブルだといえると思う。

 さて、晶夫の優雅さの原点はといえば、やはり、R.L.スティーブンソンの「マスターオブバラントレー」の兄殿であろう。
淑子から借りてた本に兄殿の優美さと獰猛さがふれられている。
  僕もこの本をさがしたことがあるが、見つけることができなかった。
ついこの間、インターネットで検索してみると、「バラントレー卿」というタイトルで、角川書店から刊行されていたそうだ。
  「知ってるつもり?!」の大藪春彦の回で、自身が影響を受けた作家に、ハメット等のハードボイルド作家は取り上げていたが、
スティーブンソンがなかったのは、片手落ちだと思う。

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★Editor
「マスターオブバラントレー」は「バラントレーの若殿」というタイトルで1996年、岩波文庫からも刊行されました。


<投稿No.023 〜 投稿者:RemM1100さん 2000.9.25(MOM2000年10月号)>

 餓狼の弾痕を読んで思ったのですが、この作品には大藪氏の後期の作品たとえば女豹シリーズのようなパワーが無いと思う。

だけど私はこの小説が嫌いじゃないです。
パワーが無いと言ってもその辺の作家よりはるかにパワフルであり、なによりも大藪小説の背骨である「社会批判の精神や怒り」がある。

大藪さんの後期の作品には所々に現代の若者達への遺書のような文章が見られるのですが、
この作品も汚れた社会に対する怒りを忘れた牙の無い現代の若者達への遺書だと思うんです。

 大藪さんはこの小説をテレビシリーズの原作として考えていたのではないでしょうか?
最近は必殺シリーズのようなサラリーマン向きのダークヒーロー物がありませんし、テレビ化したらいいんじゃないでしょうか?

 この小説の主人公 世見月はきわめて等身大のヒーローです、また敵役も等身大で昔の沖首相のような化け物はいない。

現代の若者達に伊達邦彦や高見沢優にはなれなくても世見月ぐらいにはなって欲しい、そんな思いが込められているのではないでしょうか?


<投稿No.024 〜 投稿者:追放者さん 2000.10.21(MOM2000年11月号)>

★ 郷土の作家 大藪春彦(作家) を訪ねて

 新幹線岡山駅から大橋線マリンライナーで穏やかな内海を眺め小一時間で高松駅に降りる。
駅前は改装工事中で雑然としている。港が近いが潮の匂いはしない。駅前からタクシーを拾う。
高松市立図書館と頼むと運転手は『サンクリスタル高松ですね』と確認を求めた。
初乗りから1回メーターがあがる。メインストリートから数回角をまがるとサンクリスタル高松と書かれた紅い看板の前で降りた。
運転手はふて腐れた顔も見せずにつりをくれる。

 築後10年は経ってはいないだろう、ペーブメントより少しさがって街路樹に隠れるように建っている。
グレーのカーペットの貼られた小綺麗なロビー、1階と2階の図書貸借のコーナーを通ってフロアー中央の階段を昇り3階に向かう。
11時前だから拝観者は他にいない。奥の資料閲覧室の蛍光灯は消されている。
受付の女性に千円札を渡し、小銭の釣りをもらう。
半券と小さなパンフレットと歴代の文学賞受賞作家の似顔絵の描かれたリーフレットを受け取る。指示されるまま手荷物を預ける。
撮影は許されていない。ここで郷土の作家、資料閲覧室の入場は無料であったことを思い出し、ホットになっている自分に口角が緩む。
順路の案内に従い進もうとすると閲覧室の電燈を灯しに来た女性に菊池寛の紹介ビデオを見るように薦められたが丁重にお断りする。
菊池寛の生涯、当時の文壇の状況を紹介したコーナーの奥に昭和30年代からの受賞作家のコーナーが続く。
ここでは初版本、生原稿に見とれる。愉しみを後に残すようにゆっくりと郷土の作家のコーナーへ歩みを進める。

 パ−テ−ションを越えるとダウンジャケットの大藪氏の大きなモノクロームの写真パネルがすぐ目に入る。
となりに掲げられた年譜を讀むのももどかしく展示ケースを覗く。雑誌連載の生原稿、病に倒れてからの再送ファックスの文字が痛々しい。
事前にネットから仕入れた情報と資料の配置が変わっていること、テレホンカードなどが増えていることに気付く。色紙に日付けはなかった。
文庫に赤ペンで初校正されているは『切札は俺だ』・・恐らく勁文社文庫だったと思う。カバーにスペードのエースが印刷されている版だ。
『野獣死すべし』の文庫は光文社の真紅のカバー、角川のは映画化時の赤いドレスの女性を抱く版、新潮文庫の重版カバーのものが展示されている。
廣済堂文庫の『名のない男』も同タイトルの生原稿とともに展示されているがこれは初収載本ではない。
テレホンカードはカッパノベルスの『野獣は死なず』のカバーと真木蔵人主演のビデオ『蘇る金狼1』のカバーと同じだ。
展示ケースの資料の殆どにOYABU R.T.K.オフィスからの寄贈品と但し書きが付けてある。

 入り口正面に向かって立つ2列の幅約120センチの4段の書架には最上段に昭和30年代から90年代に発行されたハードカバー、ノベルスが幅一杯に納まる。
大きな文字の○○○や、『明日を消せ』(同人社)、東京文藝社の『みな殺しの歌』、『凶銃ワルサ−P38』、『凶銃ルーガーP08』などはどれも帯が着いている。
他に『崩壊』、『死への逆流』、『歯には歯を』(路書房)、『黒革の手帳』(青樹社)などレアなものに徳間ノベルス、コバルトブックス、角川ノベルス、双葉新書などが混じる。
OHSは黄色版が数冊。どれもパラフィン紙はかけられず、直にカバーに触れることができ、閲覧室へ自由に持ち出して読むことが許されているが、
カバーや帯にはシミや損傷は少なく、いわゆる黒っぽい本ばかり手にしているへボ古書ハンターの自分には奇異に感じられる。
中段、下段には各社の文庫が脈略も無く並べられ、棚一杯に納められている。
角川文庫には追悼の黒帯が着いているものが多いが全巻は揃っていない。
最下段には伊達邦彦シリーズを記念した光文社文庫の化粧ボックスとタイトルを忘れたがビデオテープが2本文庫に混じって立てて置いてある。
壁に架けられた3葉の写真パネルではじめてご家族4人そろわれた写真を目にする。まさしくR.T.K.OYABUだ。1988年とある。ため息が出る・・。

 後ろ髪を引かれながら約1時間半で図書館を後にした。
この時のために持ってきたジタンの太短い煙草をくわえる。多くの者たちのそれぞれの思いが交錯するであろう舗道を急いだ。
車道に面した強化ガラスに写っていた野獣の末裔の姿は、伜にせがまれた琴平電鉄の列車の撮影に急ぐだらしなく膨れたカメラオヤジの姿に変わっていた。

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★Editor
投稿ありがとうございました!
遂に行かれましたか!詳細レポートありがとうございます。これから行かれる方にも役立つと思います。
大藪ファンなら一度は行ってみたいSPOTですね。私も近日行こうと思ってます。
(尚、文中の"大きな文字の○○○”は『もだんミステリーワールド5・大藪春彦集』だそうです。)


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